森の土地を見ていると、よく訊かれる質問があります。
「ここに家を建てるとして、車はどこに停めるんですか?」
もっともです。街の土地なら、「道路から入って、ここが駐車場ですね」で終わります。
ところが森では、そう簡単にはいきません。
駐車場をつくるだけなのに、考えることがいっぱい

例えば、道路からどう入る?どこまで造成する?土はどこへ持っていく?雨が降ったら水はどこへ流れる?
車を切り返せる?冬に雪が積もったら?砕石をどれくらい入れる?
こんなことが気になります。
そして全部を「業者さんに聞けばいい」とも限りません。なぜなら、最初に「どうつくるか」を考えるのは、暮らす人自身だからです。
僕の森の駐車場は、最初から完成形ではありませんでした

自前の森フィールドを開拓したとき、駐車スペースも自分たちでイメージしてきました。
水道工事などで大量に出る土。「どうしますか?」と業者さんに訊かれました。「このあたりに盛ってもらうことはできますか?」斜面で下がった場所へ運んでもらうようにしました。
そして叩いて固める。最後に砕石を入れて締める。もちろん手作業ではできません。重機を使っての仕事です。親切な業者さんだったこともあり、快くやっていただきました。
一見「土を入れて、砕石を敷けば終わり」に見えます。
ところが、そんなに甘くありませんでした。土はすぐには締まりません。実際、僕のところでは、落ち着くまで約2年かかりました。
森の土地は、机の上で考えた通りにはいかない。これが自分でやってみてよくわかったことです。
「じゃあ、この土地ならどうします?」

物件を見ながら、そんな質問をされたら、僕はまず土地を歩きます。
道路との高低差を見る。車が入ってくる方向を見る。家を建てる位置を見る。水が流れる方向を見る。
そして、「ここを駐車場にすると造成が大きくなりそうですね」「こっちなら少し傾斜がありますが、自然の形を残せそうです」「このあたりを車寄せにしたら、家までのアプローチが森の小径になりますね」
と考えます。
「平らにする」ことが必ずしも正解ではない。ここが森の土地のおもしろいところです。
森は、削りすぎないほうが面白い

山や森の土地を見ると、多くの人が「ここ、全部平らにできませんか?」と考えたくなります。
もちろん、必要な造成もあります。
でも、僕はできるだけ自然の地形を残したいと思っています。削ると地形が変わります。地盤が弱くなることもあります。
斜面があるならその斜面を生かす。木があるならできるだけ残す。高低差があるならそれを暮らしの景色に変える。
例えば、道路から森の小径を歩いて家へ。途中に小さなベンチ。家の前にはデッキ。そこから木々を眺める。
そんな暮らしなら、土地を全部平らにする必要はありません。
もちろん、工事はプロにお願いします

ここは大事なところです。「自分で経験があるから自分で全部やります」という話ではありません。
実際の造成工事は、土地の条件を見て専門業者さんにお願いします。
僕ができるのは、「この土地なら、どういうつくり方が考えられるか」を一緒に考えること。
そして、「じゃあ、誰に頼めばいい?」となったら、信頼できる業者さんにつなぐこと。
さらに見積もりを見ながら、「この工事は本当に必要?」「ここはもう少し自然のまま残せない?」と一緒に考えること。
餅は餅屋、役割分担が大事です。
森暮らしは「業者さんを探す旅」ではありません

森で暮らそうとすると、次から次へと専門家が登場します。
不動産屋さん、建築士、伐採屋さん、造成屋さん、大工さん、設備屋さん、電気屋さん、浄化槽屋さん、造園屋さん…
もちろん、それぞれのプロにお願いする必要があります。
でも、森暮らしを始める人がその全部を自分で探して、全部に説明して、全部の見積りを比較するのは大変です。
だから僕は、最初の相談窓口になりたい。
「これ、どうしたらいい?」
そこから一緒に考えて、必要なところは専門家につなぐ。
それが僕が考える「森の暮らしづくり専門家」の役割です。

