「水道・浄化槽・電気って、全部自分で手配するんですか?」森の暮らしの見えないお金

森の土地を見て、「ここ、すごくいいですね!」となった後。しばらくすると、だいたいこんな質問が出てきます。

「……ところで、水道ってどうするんですか?」

そうなんです。森の暮らしは、土地を買ったら終わりではありません。むしろ、そこから「暮らせる場所」にしていく仕事が始まります。

目次

水道は「水道があるか」だけではない

僕たちが森を開拓したときも、「水道を引けばいいんでしょ」くらいに思っていました。

ところが実際には、道路の水道本管はどこ?敷地までどう引き込む?家までどう配管する?寒冷地だから凍結対策は?

という話になります。

僕たちが住む小諸の地域では、水道管を一定の深さまで埋める必要がありました。さらに、水道工事には「取り込み」と「宅内配管」があります。

こういうことは、実際にやってみないとわかりません。

「水道、いくらくらいですか?」

これもよく訊かれます。でも、森の土地では「○万円です」と簡単には言えません。

本管までの距離。道路の状況。敷地の高低差。家の位置。配管距離。自治体のルール。

条件によって変わります。

だから、まず現場を確認して、水道業者さんに見てもらう。その上で見積りを取ります。

僕ができるのは、これまで自分が経験してきたことから、

「ここは費用が掛かりそうですね」「この位置なら配管が短くできそうですね」と考えるための材料をお伝えすることです。

下水道がなければ「浄化槽」です

森の土地では、下水道が来ていないことも珍しくありません。

その場合、合併浄化槽を設置することになります。

僕たちも実際に設置しました。

ここでも、「浄化槽って、家の横に置けばいいんでしょ?」と思っていたらそう簡単なことではありません。

家との位置関係、排水の方向、地形、浄化槽の大きさ、トレンチ(浄化槽できれいにした後の放流水を地中に均等にしみ込ませるために地面を掘ってつくった溝)のスペース、自治体の基準。

さらに地域によっては高度処理型が必要になる場合もあります。

実際に自分たちで経験したからこそ、「浄化槽はこのあたりに置くことになりそうですね」という話を土地を見ながらイメージできます。

電気も「電柱が近いから大丈夫」ではない

森の中でセルフビルドを始めたとき、電動工具を使うために仮設電気が必要になりました。

そこで電気工事屋さんに依頼して、仮設電柱を立ててもらいました。電柱が立つまで約1週間。費用は当時で3万5千円。

ところが、ここでも一つ失敗。あまりに早い段階で仮設電気を入れてしまったため、使わない期間も基本料金が発生しました。

「もう少し後でもよかったな……」という経験です。

こういう失敗は、これから森暮らしを始める人にはしてほしくありません。

ネット回線も忘れちゃいけない

「森で暮らす」と聞くと、電気や水道ばかり考えます。

でも、今の僕たちにとってはネットも生活インフラです。仕事をしながら森で暮らすなら、「ネットが来るのか?」はかなり重要。

僕自身、二拠点生活をしながら仕事をしてきたので、これは身をもって感じています。

電柱の位置を確認して、光回線が引けるか通信会社に確認する、建物が箱としてできていないと工事できないなど、こちらにも段取りがあります。

「森の土地は安い」の、その先を見る

森の土地は、街中に比べると驚くほど安いものがあります。

でも、「土地が50万円だから、50万円で暮らせる」わけではありません。伐採、造成、水道、電気、浄化槽、建物・・・それぞれに費用が掛かります。

だから僕は、土地の価格だけではなく、「ここを暮らせる場所にするまで、いくらくらい掛かりそうか」という視点で一緒に考えたいと思っています。

もちろん最終的な金額は、それぞれの専門業者さんに現地を見てもらって見積りを取ります。

でもその前に、「何を確認すればいいのか」「誰に訊けばいいのか」「どこにお金が掛かるのか」を整理する。

それだけでも、森暮らしのハードルはかなり下がります。

森で暮らしたい。でも、何から始めればいいかわからない。

そんなときは、まず相談してください。森暮らしは、夢だけで始めるものでも、専門知識だけで始めるものでもありません。

一つずつ、現実にしていけばいい。

それを自分自身の経験からお伝えしています。

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