森の土地をご案内していると、よく出てくる言葉があります。
「ちょっと斜めですね…」
確かに、街の住宅地を見慣れていると、斜面はマイナスポイントに見えます。
でも僕は、そこで一度立ち止まります。
「この斜面、どう使おう?」
斜面=使えない土地…ではありません

もちろん、急斜面なら安全性や造成費など慎重に考えなければいけません。
建物を建てられるか。地盤はどうか。雨水はどう流れるか。擁壁が必要なのか。
ここは専門家による確認が必要です。
でも「斜面だからダメ」と決めつける必要もありません。
僕なら、まず「斜面を暮らしに取り込めないか」を考えます

例えば、家は少し高いところ。その下に木陰のベンチ。斜面を利用して森の小径。途中に小さなデッキ。一番眺めのいいところに「ひとやすみスペース」。
平らな土地なら、わざわざ造成してつくらなければならないものが最初から土地の中にある。
そんな見立てもできます。
変化があるからこそ、森のある暮らしはたのしさが増します。
実際、自分の森でも斜面と付き合ってきました

森を開拓していると、「ここを平らにしたい」という誘惑が何度も出てきます。
でも、削れば当然お金が掛かります。重機が必要になる。出た土を処理しなければならない。木を伐る必要が出るかもしれない。
さらに、せっかくの自然な地形を変えてしまいます。
そんな経験から「本当に全部平らにする必要があるのかな?」と考えるようになりました。
「自然を残す」と「何もしない」は違います

ここは森暮らしで大切なところだと思っています。
自然を残す。でも放置するわけではありません。
木を選んで残す。危険な木を伐る。小径をつくる。落ち葉を活かす。斜面を歩けるようにする。必要なところだけ手を入れる。
そうすると、少しずつ森が「自分の庭」になっていきます。
最初から完成された庭を買うのではなく、自分で育てる庭森です。
「ここに家を建てたら、どんな景色になる?」

土地を見るとき、僕は図面だけでは考えません。
実際に立ってみます。
朝はどちらから光が入る?風はどこから抜ける?木々の向こうに何が見える?夏はどこが涼しい?冬はどうなる?
そして、「ここに家を置いたら、デッキからこんな景色になりそうですね」と考えます。
その場は一見、不動産の仕事ですが、僕が見ているのは「土地の形」だけではありません。
その土地で始まる暮らしの風景です。
斜面だからこそできる森暮らし

もちろん、すべての斜面が使えるわけではありません。
安全性、法規制、地盤、造成費など、専門家に確認しなければならないことはあります。
だからこそ、「この斜面、どうでしょう?」という段階で相談してほしい。
「斜面だからやめましょう」と即答するのではなく、「何ができる土地なのか?」を一緒に考える。
森の土地には、街の土地とは違う「読み方」があります。
僕はそれを自分自身の森づくりを通して少しずつ学んできました。
だから、「この土地、どう使えばいいんだろう?」と思ったら、まず一緒に歩いてみましょう。
平らじゃない。だからこそ面白い。
そんな土地も、森にはたくさんあります。

