「自分でつくる森の暮らし」。今僕たちが伝えていきたい想いです。コロナ禍の中、北海道十勝を皮切りに山梨、長野・・・理想のフィールドを探し求めて各地を渡り歩きました。
行き着いたのが町と森が近い小諸。ここかも?と絞り込んで探し続けます。そして迎えた2022年3月、この地に出会いました。
僕たちがどのようなプロセスを経て、イトーピア小諸の隣接地に拠点を決めるに至ったのか、その足跡をまとめてみました。
長野県小諸市にある森の中の別荘地、イトーピア小諸を知りたい人のお役に立てばうれしいです。
木々が美しく、それなりに広い場所
信州小諸へ至るまでの4年間、自宅のある埼玉和光市とときがわ町の山上の中古ログハウスを行き来、宿を運営していました。
眺望は素晴らしい場所でしたが、100坪ほどの敷地ではやれることが限定されます。
「もっと広くていろいろなことができるフィールド」「杉林ではなく、木々が美しい場所」という条件で新たに探し始めたのが2020年頃。
最初は北海道十勝地方を見て回りました。さすがに広大で魅力的。でも通うとなると大変、商いを始めたとしてもお客さんが呼べるか不安・・・などの理由で断念しました。
木々が清々しいて美しい、秋冬は落葉する情景・・・具体的には唐松の森というイメージ。距離がそこそこ近い場所。となると山梨、長野がエリアとして候補に挙がってきます。時は新型コロナ禍の真っただ中でした。
現地滞在して検討しようと申込みした移住体験ハウスがキャンセルになったり、知り合い経由で見に行った土地はちょっと違うとなったり。結果的ですが山梨とはご縁がありませんでした。
二拠点で通えるところ
自宅のある場所は練馬区と隣接している場所。最寄りは関越道練馬インターです。関越道沿線で2時間前後で通えるところを目標にしました。
まず軽井沢があります。でも価格として現実的ではありません。イメージもちょっと違います。その隣りの御代田町。こちらも移住ブームで人気上昇、価格も上昇傾向。手頃な物件は見当たりません。
さらにその周辺で佐久、小諸が候補になります。佐久インターであればほぼ2時間圏内。このあたりに絞り込んでいきました。
ヨメさんは毎日目を皿のようにしてネット検索。これはどう?という物件が見つかったら、とりあえず行ってみよう!そのつど高速代をかけて繰り返し現地へ通いました。
でもなかなか思ったような物件は見つかりません。市役所の商工観光課へ出向いて担当者に直接ヒアリングして見て回ったり・・・。
毎日のようにチェック、でもそうそう新しい物件が出てくるわけもありません。「どうしたものか・・・」途方に暮れる日々を送ります。
ひょんなことで見つける
ある朝のこと。目が覚めて寝床で何気なく「小諸+山林」で検索をしてみます。すると山林売買サイトに目ぼしい物件が出てくるではないですか!
ヨメさんに早速伝えます。毎日のように見ているけどポッと出のものみたい。すぐに現地へ行こうということになります。サイト運営者に朝イチで連絡、その日の予定を返上して車を飛ばしました。
その場所は別荘地に隣接した土地でした。少々傾斜はあるものの、木々のイメージ、広さともに条件をクリア。価格も予算内。完璧を求めていたらいつまで経ってもスタートできません。当日即決しました。
見つかるときってこんな感じ。日々やり続けていたからだと思います。そう、ここに隣接するエリアがイトーピア小諸別荘地だったわけです。
お隣さんとのご縁
現地を見に行ったとき、お隣りに定住されている別荘地の方とたまたまお会いすることができました。恐る恐る話し掛けていきます。
「実はこんなことを考えているのですが、いかがでしょうか?」
「いいじゃないですか。ご縁があるようならぜひお越しになってください」と快いお返事。
新しく場所を設ける際、近隣住民との関係はとても重要です。以前トラブルを経験していて痛感しています。このやりとりがなかったら、ここでお会いすることがなかったら、この地とのご縁はなかったかもしれません。
森のフィールド開設へ向けてその後もいろいろとハードルがありました。お隣りさんにはその都度助けていただきました。
その後、別荘地住民コミュニティとの橋渡し役にもなっていただきました。御年80歳、元校長先生で包容力のある人。まさに僕たちにご縁をつくったいただいた恩人です。
管理事務所とのご縁
別荘地ではないものの隣接した場所で事業を始める・・・となると、当然、管理事務所への申し入れ承諾が必要になります。
どこの馬の骨かわからない部外者。本社への打診などもあり最初は難色を示されました。でも諦めることなく何度も通い、丁寧に内容を説明しました。そして何度か接点を持つうちに理解してもらえるようになりました。
その過程で別荘管理事務所が抱える課題も少しずつ見えていきました。課題を抱えながらも、スタッフのみなさんは日々一生懸命取り組んでいらっしゃることが手に取るようにわかりました。
「何か自分たちにできることはないだろうか?」いつしかそんな気持ちをもつようになったことを思い出します。
別荘地住民の方々とのご縁
手つかずの森、まずは開拓作業のスタートでした。スコップで道を削る、慣れないチェンソーで伐採する・・・森と町を行き来しながら少しずつやっていきます。
その後、仕事と生活の拠点として小さな家を手掛けていくことに。基礎から一軒の家を建てる貴重な経験をするに至ります。
テントをたてて作業をしているとき。ひと部屋だけの仮住まいアパートから通いで家の建築をしているとき。
「どうですか?進み具買いは・・・」別荘地住民の方々が散歩のついでに顔を出して声を掛けてくれます。気にかけていただき、とても励みになったことを思い出します。
その後、お隣りさん経由で別荘地コミュニティの一員にも加えていただきました。外部の人間、本来そんなにスムーズにいくはずはありません。お隣りさんの推薦あってのことだと顧みます。
おかげさまでそこからいろいろな住民の方々と知り合いになりました。
手づくり家具屋さん、彫刻家、20年かけてログハウスをセルフビルドした人、4000坪の土地を管理している人、移築した古民家を10年かけて手直し、蕎麦屋さんをやっている人、リタイアまで介護関係の会社を経営していた人・・・
挙げればきりがありません。みなさん平均80歳前後という年齢を感じさせないバイタリティの持ち主。20年ほど前に東京、埼玉から二拠点で通い、その後移住した人たちです。
「家でテレビをみているより外に出て何かやっていた方がいい」「まだまだやりたいことがある」こんな声を耳にします。たくましいし活力があります。「昔はこうだった・・・」みたいな回顧録を話す人は一人もいません。
「若手にお願いしよう」なんていうのもなし。何とか自分でやろうとします。とはいえ、ひとりだと何かあったときに不安です。不安を解消できるよう、つかず離れずお互いを気にかけ合う関係性もあります。
ひと言でいうと、自分の人生をたのしみたいという気持ちに満ち溢れている人たち。こうした個性あふれる人生の先輩たちと接点が持てるだけでもここに来た価値ありと思っています。
こうした人たちの様子を見るにつけ、今の高齢化社会のあるべき方向性のヒントがあるとも感じています。介護だ、病院だ、そのためにどうする?ではなく、毎日を元気にいきいき生きていくにはどうするか?が優先。身をもって教えていただいています。
であれば活力ある高齢者の人たちのこと、暮らしの姿を世の中に紹介していきたい。やがてそんな想いも持つようになりました。
周辺の方々とのご縁
地域には区があります。新たにスタートするには区の住民となってそうした方々とも関係を築いていく必要があります。
区長さんなるポジションの人と会うことが先決。市役所で教えてもらった人は「元区長」さんでした。
林業を営む方で、その後フィールドの難しい木の伐採や溜まったものの処分などで助けていただくご縁ができました。
区長さんはじめ役員の方々とも数回にわたり事業説明、現地見学もしていただきました。地域の方々との接点はまだまだこれからです。その時に合わせ少しずつ深めていきたいと考えています。
数々のご縁で今がある
いただいたご縁やご恩を返していきたい。想いが募りました。この地と出会ったのは全てご縁。ここに根を下ろしてやってみよう。
そう決めるのは、自然なながれだったかもしれません。
周辺環境、アクセス、住居の状態、季節の変化・・・住まう場所を決める要素にはいくつかあります。その中でも大きなものが住民、人だと思います。振り返ってみてそのことに大切さを改めて感じました。
まだまだこれから。自分たちに何ができるのか試行錯誤しながらの毎日。やること、やりたいことは山積み。ただずっと頑張っていこうという気持ちだけは持ち続けています。
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