「不動産屋になりたいのではなく、森の暮らしをご縁のあった人に知ってもらい、共感する人に具体的にはじめてもらいたい」。根っこにある想いはこれ。この仕事をはじめたいと思うに至るにはさまざまな経験がありました。頭の中を整理してみました。
自分たちでやってきて最高と感じた
最初は焚き火が安全で自由にできる場所をつくりたくて今のフィールドを見つけました。
ところがやりながらやりたい方向が変わっていきます。
最初に手掛けたのが、人の手の入っていない森を開拓する作業。基本、重機は使わず手作業でやることに。
ゼロからイチをつくり出していく実感。頭の中がリセットされる爽快感。
良くも悪くもやったらやった分だけ跳ね返ってくるシンプルさ。自然の大きさと過酷さ・・・
開拓という作業自体に心が動かされていきました。
次に拠点づくり。当初はフィールド開拓をしながら、仕事で滞在する時に過ごせる小屋程度でも建てようかと考えていました。
たまたま近隣に知り合いの一級建築士さんがいたこともあり、ちゃんとした家を建てようかという流れに。
といっても6坪の小さな家。その小さな箱に生活に必要な要素を散りばめましたを
どうせやるなら基礎からやろう。できるところは全部自分たちの手でやってみよう。
どれもこれも決めていたわけでもなく、ほんとに成り行きです。
それから始まった「なんちゃって職人」のセルフビルドの日々。
未経験どころか「人生初」の連続。手探りでやってきました。失敗、やり直し・・・いったい何度やったかわかりません。
でもこの間に得た体験は何者にも代え難いものになりました。
未知の世界のワクワク感。建築の世界の奥深さ。
生きていくことに置き換えられる学びの数々。
シンプルに物事を考えられるようになる習慣。
アラカン夫婦たった二人で進める「自分の森で自分の家をつくる」というかけがいのない小さなプロジェクト。
ここで味わった経験を共感いただける人へ共有したくなりました。
森を大切にしたい「my forest my home」
森の開拓、森の小さな家。手づくりでいろいろやっていると、森の懐の深さを知るようになります。
一方でそんな森が歴史やさまざまな事情で、ないがしろにされている現実を目の当たりにしました。
世の中で騒がれている地球温暖化や脱炭素社会。人間が生きていく上で今最も優先順位が高いテーマ。
課題解決で森が果たしてくれる要素はあまりに大きいことがわかっています。
にもかかわらず、実際は全体としての動きになっていません。
一部の志のある人が一生懸命取り組んでいるものの、点としての活動にしかなっていません。
一方で国家レベルの話をしていても何も始まりません。
森がもっと身近にある存在になればいいのでは?そのために自分たちとして何か自分たちでできることはないものか?
試行錯誤の末から見つけたものが「my forest my home」。自分の森を手入れし、小さな自分の家をつくる。
森との暮らしの近くにあれば何が起こっているかがわかる。
現状がわかれば、自分たちで良くしようという気持ちが生まれていくはず。そんな想いで取り組んでいます。
自分でやったらいいじゃん!
僕たちが今の暮らしを始めるまでのこと。
まず物件(山林)探しで苦労しました。なかなか思ったように進まないからです。
ネットで調べまくって出てきた物件。取り扱いが⚪︎⚪︎不動産。じゃあ連絡。
行くと現地案内して「どうですか?」ときくだけ。うーんとうなっていると挙句に「どんなことがしたいんですか?」ときかれる始末。
山林を活用してこんなことやりたい・・・なんて話は理解できません。
これまでの経験の中にはないことなんでしょう。無理もありませんね。
予算が少ないとわかったら、いきなり足元を見たり、仲介手数料を計算してみたり。全く買い手のことを考えていませんでした。
契約が終われば全て完了、売ったら売りっぱなし。後は勝手にやってね・・・こんなことの繰り返し、商売のやり方に疑問を感じる日々。
「いけてないなあ・・・」当時これがだめ、あれがだめとダメ出ししてました。
そのうち不満ばかり言っている自分がだんだんイヤになってきました。
そんなある日、「そうか!不満があるなら自分で不動産屋をやればいいじゃん」と気づきました。
それから必死で宅建の資格勉強にかじりつくことになります。
神様が味方してくれたのか否か、何とか試験にパス、その後の手続きに右往左往しながら仕事が始められる準備を進めています。
単に物件案内するだけが不動産屋の仕事ではない。
ご縁のあった人がやりたい暮らしを一緒に描き考え、具体化していく。
働くこともカタチにしながら、その人の生き方設計のお手伝いをしたい。
経験と実績を積みながら、森の暮らしがしたい人のかゆいところに手が届くサポートができるよう精進する!心に決めました。
おまけ・・・還暦から新しいコト
昔から新しいことが好き。誰かがやっていることに乗るより、とにかく自分でやりたい。そんなタチ(性格)です。
宅建勉強に励んだのが59歳。運良く合格に滑り込みました。何とか60歳の大台に間に合いました。
還暦からでも新しいコトは始められる。実現できるように日々目の前でできることをやっています。