都会暮らしから森の暮らしへ踏み出す第一歩として、中古別荘物件の購入を考える人も多いでしょう。しかし、森の物件には一般住宅にはない独自の注意点があり、慎重なチェックが欠かせません。
本記事では、宅建業者による知見と自分たちが実際歩んできた実体験をベースに、中古別荘物件選びから内覧時に押さえておきたいポイントを解説します。
二地域居住や移住を視野に中古別荘物件を探しはじめた人のお役に立てばうれしいです。
物件選びのチェックポイント

立地とアクセス
最寄りの生活インフラは?
生活していくために必要な施設があります。スーパー、コンビニ、病院、役所はどこにあって、現地からの距離はどのくらいなのか?
移動手段は自家用車になりますが、万が一の時のためにバスなど公共交通手段の代替方法も知っておいた方がベター。
森や自然が深くなればなるほど、生活インフラは遠距離になります。毎日の暮らしをイメージし、バランスを考えた立地を選んでいきましょう。
冬季のアクセスは?
森の暮らしには雪との付き合いが出てきます。積雪したままの道路では身動きとれなくなります。冬場の生活も想像するのは大切です。
積雪時の除雪対応はどうなっているのかを確認します。具体的には管理会社や自治体の対応を調べてみてください。基本的に自治体は公道(県道、市道)の除雪をしてくれるイメージです。
水害・土砂災害のリスクは?
ハザードマップで物件のあるエリアを確認し、地形を把握しておきましょう。別荘地は斜面が多いため、土砂災害警戒区域になっているケースがあります。
管理状況(管理会社・自治体)
管理会社の有無と維持管理費は?
別荘地には管理会社がある場合とない場合があります。管理会社があると管理費が掛かります。道路維持費・ゴミ回収・共用施設など管理費でやってくれる内容を確認します。それ以外に共益費や水道管理費、温泉使用料などが掛かることもあります。
管理会社がないと管理費コストは掛かりませんが、荒れた環境になりやすいです。
自治体のルールは?
固定資産税がどのくらいなのかを確認しましょう。毎年の固定費になりますから。まれにですが定住できないような場所もあったりします。
周辺環境
別荘地内の道路状況は?倒木は?
物件までの道路は舗装されているのか、土なのか。そうそう、土のままの道もあるんですよね。土で凸凹だと雨の日の通行に支障が出ます。実際に車で行き来をすることを想定して走ってみてください。
山林の道に多いのが倒木です。管理が行き届いていない別荘地にはゴロゴロしていたりします。倒木があると道がふさがれるのに加え危険性が上がります。
家の周囲に倒木しそうな木があると倒壊のリスクが発生します。倒木にはアンテナを立てて現地確認してください。
「景色がきれいだね~」「森っていいね~」都会から来るとそんなところへばかり目が行きがち。でも、住むとなったら別の視点が必要です。しっかりとチェックしていってくださいね。

僕たちの別荘地では通行に支障がある倒木は管理会社が対応、電線にかかりそうな木は中部電力が対応しています。
隣接する土地や住民の様子は?
近隣住民がどんな人なのかは極めて重要です。実際に住み始めた後に予期せぬトラブルになるケースもあります。一方で周囲に人が住んでいなくて放置されている物件が多いと、防犯上のリスクが高まります。
できたら周辺にお住まいの方と話す機会ができるとベストです。



気に入っていたのに、近隣住民のトラブルで泣く泣く手放さないといけない事態になった事例は結構身近にあります。
野生動物の影響は?
山林にはシカ、イノシシ、サルがいます。畑で野菜をつくると被害にあったりします。その場合は柵が必要になります。最近ではクマ出没が怖いですよね。
現地にはどんな種類の動物がいるのか?出没頻度はどのくらいなのか?できたら近隣住民にヒアリングしたいです。こうした情報は住んでいる人じゃないとわからないものです。
内覧時のチェックポイント


森の中古別荘を内覧する際、建物の状態だけでなく、敷地や環境にも特有のチェックポイントがあります。一般の住宅とは異なり、自然環境に囲まれているため、土地の特性を見極めることがとても重要です。以下の点を確認しましょう。
敷地の状態と安全性
地盤の強さや地形の特徴は?
別荘地の多くの場合、傾斜地です。土砂崩れや地盤の安定性の視点をもってください。平坦なところがどのくらいあるかを見ていきましょう。
できたらでいいのですが、過去どんな土地だったかがわかると尚良しです。湿地や田んぼだった場所は地盤が弱い可能性があります。
擁壁がある場合はその劣化状態もチェックしてください。地盤沈下などのリスクにつながります。
境界は明確になっているか?
隣地との境界線はしっかり確定されているか、境界杭をチェックします。古い別荘地では境界が曖昧なこともあります。
また、敷地までの道路が公道か私道なのかもチェックポイント。私道の場合、維持管理費がかかる可能性もあります。
水はけの良さ・水害のリスクは?
見落としやすいですが、雨が降った後の状態がどうなるかも想像してください。ぬかるみや水たまりができやすいか否かです。水路や側溝があって排水がスムーズか敷地内の水の流れなどもわかればベストです。。
土壌の性質と利用のしやすさは?
庭や畑づくりができそうかの目線ですね。土壌の質が悪いと植物が育ちにくかったりします。岩が多いと掘り起こすのもひと苦労です。また湿気の多い場所はカビやシロアリのリスクが高くなります。
日当たりや風通しは?
周囲の木が茂りすぎていないか樹木の状態をみてください。放置状態が長いと伐採しないといけないケースが出てきます。伐採費用は太さや本数で変わってきます。
南がどの方角になるのかで日当たりを予測します。特に冬場は積雪地域だと日照が気になるところだったりします。
騒音・異臭の有無は?
静かに暮らせるかどうかは重要ですよね。近隣に工場や観光地がないかを確認しましょう。また、周囲に牧場やゴミ処理場がある場合、風向きによって臭いが来ることもあります。
建物の構造・状態
基礎や土台の状態は?
建物の基盤は基礎と土台です。傾きやヒビがないか、湿気や腐食が進んでいないかを自分の目で確認してください。
専門的で気になることはどんどん業者さんに質問しましょう。質問しないと向こうからは言ってくれないケースがほとんどです。その時の対応の仕方で業者さんの良し悪しがわかるかもしれません。
屋根・外壁の劣化は?
屋根で一番怖いのが雨漏りです。雨漏りの跡がないかを見ていきます。時間経過で外壁にはカビやコケが付いています。どんな状態かもチェックしてください。
室内の状況は?
家は人が住んでいないと痛みます。風が通っていないとカビ臭さが染みついていたりします。別荘は常時住んでいない家なのでその前提でチェックしていってください。
床の沈みや傾きは?
部屋を歩いてみて沈む場所がないかチェックします。沈むところは腐っていたり、下手したら床が抜けることもあります。
基礎、土台、屋根、柱といった構造部分に不具合があると建物そのものの建て替えレベルに発展することもあります。建物の構造の不具合は住宅として致命傷になります。専門家の力を借りてチェックしていきましょう。
このあたりにふれない業者には要注意です。売りたいがためにデメリットを隠すような姿勢が疑われるからです。
一方、床や内壁といったあたりはリフォームで修復可能です。別荘ライフには自分自身で家の手入れ、手直しをしていく愉しみがあります。一般住宅では想像できない森の暮らしがそこにあるという感じです。



僕たち夫婦も全くのど素人から家をセルフビルドしてきました。今まで知らなかった世界を愉しんでいたりします^^
水回り・設備の確認
給排水設備は?
水道は公営水道が来ているのかを確認します。森の中は上下水道が整備されていることは少なく、その際は浄化槽利用ということになります。
場所によっては井戸水というケースもあります。井戸水の場合は水質検査が必要になる場合もあります。
浄化槽なんて言葉、聞き慣れないですよね?僕たちも最初はそうでした。浄化槽とは、日常生活で生じた汚水やし尿を微生物の働きにより分解し放流するための設備です。
何十年も経っていると浄化槽そのものが劣化しているケースもあります。



僕たちが以前二拠点で利用していたログハウスの浄化槽は30年ほど前のもので劣化。においがするので入れ替え、100万円近くの出費になった痛い経験があります。
冬場は多くの場合、水道管が凍結します。そのあたりも確認したいですね。



うちも冬季はマイナスになるので凍結防止帯という配管に巻きつけて通電、配管内の凍結を防ぐものを追加で設置しています。設置の電気代、別荘地ならではのコストですね。
トイレの種類は?
トイレは汲み取り式か水洗のいずれかです。汲み取り式の場合は定期的にバキュームカーがやってきます。水洗の場合は浄化槽があります。汲み取りにはそのつど費用、浄化槽にはメンテナンス費用が発生するので考慮に入れてください。
電気・ガスの契約状況は?
電気は必須ですよね。別荘地だとまず大丈夫ですが要確認です。古い別荘地だと容量不足の場合もあります。
給湯器まわりはガスか灯油のいずれかになります。薪を使う選択肢もありますが、機器も高価でいきなりはハードルが高いと思います。
ガスはプロパンガスで近隣業者さんが定期的にボンベを配達入れ替えしてくれます。
灯油の場合は石油ボイラーという設備です。家のウラに灯油タンクを置き、業者さんに配達給油してもらいます。
ランニングコストや使用用途を考えてどちらにするかを検討しましょう。
将来的にオフグリッド生活を視野に置くのなら、太陽光発電の設置も選択肢ですね。ただイニシャル土j入コストがそれなりになります。
インターネット接続は?
森を拠点に働くスタイルには、リモートワークができる環境が必須です。逆に言えばネットさえあればどこにいても仕事ができる世の中です。ネットがつながるか否かは生活インフラといっても過言ではありません。
まずはスマホの電波が入るか確認。一つの目安は近くに電柱があるか否か。電柱があれば光回線引き込みができるケースが多いです。ネット系の会社に接続環境を確認してみてください。
害獣・害虫の痕跡
天井裏や床下のフンや巣は?
ネズミやアライグマが住みついていないか。一度の内覧でここまで見ることは難しいかもしれません。気になる物件には二度三度足を運ぶのもありです。



僕たちの別荘地のご近所さんが物件を購入したときは、屋根裏にハクビシンのフンがあって困ったというお話もあったりします。
シロアリ被害は?
シロアリは目に見える箇所ではなく、木材の内部を食べる習性があります。シロアリ被害を受けると内部が空洞になり強度が低下します。
床がフカフカ柔らかくなっている、きしむ音がする、壁や柱を叩くと空洞音がするといった場合はシロアリ被害の可能性があります。
ちゃんと調べるのは専門家に依頼することになりますが、シロアリという視点を忘れないようにするのが大切です。
使える資材やリノベーションの可能性
再利用できる木材や設備は?
セルフリノベーションを考えるなら、使えるそうな資材があるか否かをチェックしましょう。意外と使えるものもあったりします。材料を新たに購入となるとそれなりの費用が掛かります。



僕たちは母屋と離れをセルフビルド、材料高騰もあってびっくりするほどお金が掛かりました^^;
間取りの変更が可能か?
壁の撤去や断熱強化ができるかどうかも視野に入れてください。専門家の視点がないとできないかもしれませんが、リノベーションがいろいろ広がるのが別荘のメリットだったりします。
中古別荘を購入前にやるべきこと


何度か足を運ぶ
現地には複数回行ってみることをおすすめします。天候の違う日や違う時間帯にチェックすると、見えていなかった風景や感覚を知ることができます。
管理会社の人に話を聴く
管理会社がある別荘地なら、管理会社の人に直接話を聴きに行ってください。管理会社は別荘地を活性化したいのでいろいろ教えてくれるはずです。
あまり対応が良くない場合は積極的に検討しない方がいいかも。住みはじめた後に付き合いが発生する人たちですから。
仲介業者さんだけの話を鵜呑みにしないことです。なぜなら実際の暮らし情報はもっていないからです。
住民の話を聴く
できたら別荘地に定住している人と話せたらベストです。暮らしは実際に生活している人じゃないとわからない情報ががたくさんあります。
特に物件に隣接して住んでいる人は重要です。内覧に行ったときに見かけたら声を掛けてみましょう。近隣トラブルを未然に防止することにもつながります。



僕たちが住むイトーピア小諸であれば、定住した方と会話ができるようおつなぎすることもできます。
ライフスタイルとの相性を考える
定住するのか二地域居住で週末利用するのか。自分たちがどんな暮らし方をするのかによって物件内容も変わってきます。目的に合った物件か否かを見極めていきましょう。
専門家に建物診断を依頼する
築年数が経っている物件は、インスペクションと呼ばれる住宅診断を検討する方法もあります。
総合的に優先順位で判断する


いろいろとチェックポイントを解説してきましたが、これら全てを満たす物件はそうそう見つかるものでもありません。あったとしても予算ありきだったりしますよね?
「建物の構造部分は外せない」「ここからの景色が一番に気に入った」など自分なりに優先したい点をしっかりと持った上で妥協できるところをどうするかが最終判断になります。



「ここだけは譲れない!」をしっかり決めていきましょう。
まとめ


森の中古別荘物件には、価格が手頃なものも多く、工夫次第で魅力的な住まいにすることができます。一方で、都市部の中古住宅とは異なる独自のチェックポイントが多いため、慎重に選びましょう。
森プラス不動産では、都会の人が森の暮らしを始めるための第一歩として、はじめたい人目線で、適切な別荘物件選びをサポートしています。もし気になることがあれば、お気軽にご相談ください。