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森の暮らし物件選びで注意したいチェックポイント

森の暮らしを具体化するにはいくつかのステップを踏んでいく必要があります。「あらかじめ知っていたら困らなかった!」というものがいろいろあります。

この記事では、僕たちの実体験をふまえたチェックポイントをまとめています。「最初からわかっていたら助かった!」というものばかりです。

二拠点生活、週末移住、ひいては移住を見据えた森の暮らしを考えている人のお役に立てばうれしいです。

目次

土地を見つけるときの制約

山林物件

都市計画区域のどこに入っているのか?

都市計画区域内だと、例えば建築確認は必須、基礎はコンクリートでないとNGといった規制があります。

都市計画区域は、市街化区域、市街化調整区域、非線引き区域の3つの分かれます。また都市計画区域ではないけど、将来的に市街化の進行が予測される区域で土地利用規制があるところを準都市計画区域と呼びます。

自分の物件がこのどれに分類されているかを調べます。調べ方は役所にある都市計画地図です。

市街化区域すでに市街化を形成している区域、およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
市街化調整区域市街化を抑制すべき区域
非線引き区域市街化区域、市街化調整区域に該当しない区域

各々、建物を建てるときに規制があります。土地を造成することを開発行為といいます。市街化区域なら原則1000㎡以上で、非線引き区域、準都市計画区域なら3000㎡以上で都市計画法による許可が必要になります。

例えば、非線引き区域にあって3000㎡(約908坪)以上だったら、開発許可をもらわないといけなくなるわけです。

1000坪の山林が見つかった!とよろこぶ前に、いろいろと確認しないといけないということですね。

開発行為にあたらないか?

開発許可制度とは、市街化区域、市街化調整区域で宅地造成など一定規模以上の開発行為を行う際に知事の許可を必要するものです。

開発許可が不要になるケースは下記の通りです。森の暮らしに関係するのは小規模開発の場合です。

小規模開発の場合市街化区域→1000㎡未満の開発行為
非線引き区域→3000㎡未満の開発行為
都市計画区域外・準都市計画区域外→1ヘクタール(10000㎡)未満の開発行為
公益上必要な建築物公民館、図書館、博物館など
公的事業都市計画事業、土地区画整理事業、市街地開発事業
その他市街化調整区域における農林漁業用の建築物(畜舎、温室、業者の住居など)

見つけた土地がどこかに該当すれば開発許可が必要になることがあります。注意してください。

接道しているか?

建物を建てる上でもっとも重要なものが接道です。

建築物の敷地は、建築基準法第42条で定義される道路(原則として幅員4メートル以上のものをいう)に、間口2メートル以上で接していなければなりません。これを接道義務といいます(建築基準法第43条)

e-gov法令検索

建築基準法で決められた道路に接していない土地には建物を建てることができません。

森の暮らし的な例だと旗竿地のケースがあります。メイン道路から奥まったところへ狭い道でつながっている場所は要注意。入口が2メートル未満だと接道していないことになります。

あとセットバックに該当するかも確認しておきましょう。セットバックとは建物の上部を下部より後退させることをいいます。

.2項道路建築基準法第42条第2項の規定により道路であるものとみなされた幅4m未満の道のこと)に面する土地では、次の1)または2)の範囲に建物建築することができない。

1)その道路の中心線から水平距離2mの範囲
2)その道路の片側が崖地、川、線路等である場合には、その崖地等の側の道路境界線から水平距離4mの範囲

アットホーム

埋蔵文化財包蔵地ではないか?

貝塚、古墳、土器、石器などが土中に埋もれている土地を埋蔵文化包蔵地といいます。土地がこれに該当したら、工事着手60日前までに教育委員会へ届出、現地調査、試掘といった流れになります。

もし遺跡が発見されたら本格的な発掘調査などが始まり、家をつくるどころの話になりません。事前に役所で確認しておきましょう。

土砂災害警戒区域ではないか?

山の中だとこれに該当する箇所があります。イエローゾーンと呼ばれる土砂災害警戒区域とレッドゾーンと呼ばれる土砂災害特別警戒区域があります。

該当したら建築物の構造規制などをしないといけない場合があります。

自然災害はいつ何時起こるかわからない昨今。土砂災害ハザードマップなどを利用して事前に調べておきましょう。

生活ライフライン(上下水道・電気・給湯・ネット)の確保

森で暮らすんだから自給自足でいきたい・・・と思ったりもするでしょう。実際はそんな甘いものではありません。一定水準の文化的生活をしたいのならライフラインは必須です。

上水道は引き込めるか?

水道メーター

まず水の確保をどうするか。水がないと生活は成り立ちません。蛇口をひねると水が出る当たり前の毎日を送っているとわからないことですが、実は文字通りライフラインになります。

水道には上水道と下水道があります。上水道はいわゆる水道、引き込みができるか否かです。引き込みするには土地の近くに水道本管が来ている必要があります。

本管を確認できたら次は土地までの引き込み距離です。距離があればあるほど費用が掛かります。状況によってケースバイケースですが、数百万円といった費用感になると思っておくと無難です。

また新たに水道利用を始めると分担金というものが発生します。ざっくり10万円前後と考えておきましょう。

井戸を掘るといった選択肢もありますが、出るか出ないかわからない、水が出るまで掘る、費用が読めない、出たけど水質がどうかも不透明・・・などハードルは高いと思います。

下水処理の設置(浄化槽設置)は?

浄化槽マンホール

山や森の中は町のように下水道が来ていません。そのため排水は合併浄化槽を設置することになります。

排水には、トイレの汚水とキッチン・浴室・洗面から出る生活雑排水があり、その両方を処理するから合併という呼称になっています。

合併浄化槽

手前側から汚水を3つの槽で順番にフィルターをかけていくイメージ。3つ目の槽に微生物が入っていて浄化をしてくれます。

ブロアと呼ばれる空気を送り込む装置で微生物を生かす仕組みです。

合併浄化槽の他、単独浄化槽というものもあります。これはトイレの汚水だけを処理するもので、生活雑排水はそのまま垂れ流しになっています。

もう一つがいわゆるボットン便所、汲み取り方式のものです。古くからある別荘地は単独浄化槽か汲み取り方式の場合が多いです。

あと雨水もありますが、雨水は浄化槽に入れられません。

新規で合併浄化槽を設置するには100万円強の費用と別途保守費用が掛かります。市町村によっては補助金があるのでチェックしてみてください。小諸市だとこんな感じです。

既存の家が建っている物件なら、浄化槽があるのか否か、どんな浄化槽なのか、設置してどのくらいの期間が経っているのかを確認します。30年を超えると劣化していて交換しないといけない場合があります。

僕たちも以前、中古ログハウスを購入した際、住んでみたら劣化していることがわかり、100万円の支出を余儀なくなれた苦い思い出があります。

ちなみに、現在は単独浄化槽の新規設置は禁止されています。

電気の設置は?

コンセント

次に電気設備です。既存電柱から敷地内に電柱を立てて引き込む工事と敷地内電柱から建屋までの配線、そして宅内配線、スイッチ、コンセント設置などになります。

免許がないとできない工事ですので、近隣の電気工事屋さんへ依頼します。

森には木がたくさん生えていて電線が切られてしまうことがあります。余分に費用が掛かりますが、できれば土中に配管で配線することをおすすめします。

給湯設備は?

石油給湯器

お風呂やキッチンのお湯の供給設備です。方法としては、ガス、灯油、薪などがあります。森の暮らしの場合、ガスはほぼプロパンガスになります。灯油は石油ボイラー、薪は薪ボイラーです。

僕たちはトータルコスト面を考え、石油ボイラーにしました。200リットルのタンクに入った灯油が燃料です。

森の資源循環として薪ボイラーも魅力的でしたが、機器が高価で選択肢があまりなかったため断念しました。

インターネットの敷設は?

インターネットルーター

現代社会でこれがないと森の暮らしは成り立たないといっても過言ではないでしょう。また、どこでも仕事ができるインフラとしてもネットは必須です。

電柱が近くまで来ていれば基本的に光回線が引けます。電気工事と並行しての段取りになります。インターネット会社へ工事依頼します。

木の伐採

伐採

森ですから当然樹木があります。また倒木もあったりします。家を建てるにあたり、ある程度敷地の整備が必要になります。

自分で伐る選択肢もありますが、慣れないうちは大変な危険を伴うのでおすすめできません。

木の向いている方向次第で、周囲の建物へ倒れていったり、電線を切ってしまったり、大きなリスクを伴います。

何より素人が安易に作業したら大怪我ひいては死亡事故へつながるケースもあります。

伐採は、近隣の林業屋さん、造園屋さんにお願いすることになります。それなりの費用が掛かるので予算に入れておいてください。

松くい虫の被害を受けた赤松に限った例ですが、市町村によっては伐採補助金が出る場合があります。あらかじめ調べておきましょう。

買物ができる

行きやすい距離にスーパーがあるか否かも大切です。当たり前のことですが、山の中へ行けば行くほどお店はなくなります。

「山の暮らしなんだから、自給自足でいけばいいんじゃないの?」と考えてしまいがち。でもそんなに事は簡単ではありません。

コンビニや24時間営業スーパーなどあるとさらに便利。押させておきましょう。

倒木、除雪作業

山の中に入ると木が倒れているのをちょくちょく見かけます。老齢化した樹木、虫の被害を受けた木は風雪などの影響で倒れてしまいます。

雨降りの後は特に木が倒れやすくなります。倒木が道路をふさいでしまうという事態も珍しいことではありません。

土地の周辺の樹種がどういうものでどんなふうに生えているかもチェックしておきましょう。

森というと聞こえはいいですが、要は自然の中。そこで出てくるのが虫。虫ぎらいな女性は多数いますよね。森の暮らしで避けては通れない存在です。

虫ぎらいだけでなく、外作業をすることが森の暮らしの日常。都会にいる虫以外のものがいるので長袖長ズボンは必須。

予期できぬ虫に刺されて苦労したことが多々あります。

蚊もさることながら、虫の中でも結構気になるのが「メマトイ」。

5月頃から気温が上がると発生します。外作業をしているとブンブン寄ってきて目のあたりにまとわりついてきます。だからこの名前、時には目の中にまで入ってきます。

こういった虫がいないところなんてありません。この季節にはこんな虫が出てくるということを認識した上で暮らしていくのが森の営み。

そもそも自分たちがアウエーです。いかに付き合っていくかを考えるしかありません。

まとめ

森の暮らしの物件探しは街中とは全く違う点をチェックしないといけません。不動産屋さんもそこまで詳しく説明してくれるものでもありません。

不明点はそのつど質問して、納得がいく回答を得られるまでやりとりをした方がいいです。何せ大きな買い物ですから。

良くないのはあれこれ探していて惰性に流されてしまうことです。手間が掛かっても、一つひとつの物件をしっかり吟味することを忘れないようにしましょう。

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