この地と初めて出会ったのが2022年3月半ばのこと。その日から人の手が入っていない森の開拓生活が始まりました。
その後、母屋、店舗アトリエのセルフビルド、体験フィールド整備へと広がっています。
手掛けるのは現在61歳と59歳のアラカン夫婦二人。ちなみに現在進行形、そんなワケで牛歩の歩みで進んでいます。
僕たちのフィールドに隣接して別荘地がありました。名前はイトーピア小諸高原別荘地。
1970年代に最初の分譲を開始、今に至ります。全体でいうと1100区画にも及ぶ大きな別荘地。時代の流れとともに現在定住者は約100世帯。そのほとんどが80歳前後の高齢者、あとは別荘利用と土地だけで放置された場所が点在しています。
「何をつくってるの?」「そうなんだ」「頑張ってね」僕たちが作業をしていると、散歩のついでに立ち寄ってお声掛けをいただく人がちらほらと現れていきました。
そうした経過もふまえ、縁あって別荘地のコミュニティにも入れていただきました。みなさんは当時外様だった僕たちを温かく迎え入れていただきました。
大手ゼネコンを定年前に早期退職して家具職人になった81歳男性、元校長先生でゼロからナチュラルガーデンを開拓しながら生まれ故郷の能登で復興活動をしている81歳男性。
50代半ばで介護事業を立ち上げ77歳で移住、日本画教室などアクティブに活動する82歳女性、古民家を移築してお蕎麦屋さんを営む70代ご夫婦。
二拠点を行き来しながら20年かけてログハウスをセルフビルドした70代男性・・・。
イトーピア小諸には、多彩な経歴でバラエティに富んだ人たちが住んでいらっしゃることを知りました。二地域居住といった言葉のなかった時代からそのことを実践してきた、まさにパイオニア的存在です。
みなさんに共通するのは「自分でやりたい」という気持ち。これさえあれば人はいくつになっても活力を失うことはない。人生の先輩たちから学んできたことです。
ここイトーピア小諸には、いきいきとした高齢化社会のロールモデルがあると感じるようになりました。きっと目の前にある社会問題を解決する糸口にもなるでしょう。
一方でそのまま放置されてしまった土地。多くは荒れています。こんなところどうするの?と一見思ってしまう土地。
でも実はそうとはがりは言えないんです。少しずつ手を入れていけば見違えるような森へ変わっていきます。そもそも自然相手、何もしなかったら荒れるのは当たり前なんですね。
何より別荘地なので水道、電気といったインフラが整っています。そんじょそこらの山林を買ってイチから自分で整備する方法もありますが、インフラがない中だと労力、時間、コストで途方もない事態が待つことになります。
つまりここは、森の暮らしをはじめていくためには格好のロケーションなのです。
このことは数年にわたり山林を探し求めて右往左往し、手付かずの山林を開拓セルフビルドしてきた経験から明快に言えます。
そのことが実体験でお伝えできるよう、僕たち自身も区画を購入、少しずつ森の整備を行っています。
もちろん、良いことばかりではありません。斜面で手のつけようのない場所もあります。そこには見極めと目利きが必要になります。
「この土地ならこんな使い方ができる。一方でデメリットにはあんなことがある・・・」といったアドバイスを差し上げていきます。
これは僕たちがフィールド探しをしていたとき、誰もやってくれなかった、でもやってほしかったこと、求めていたことなのです。
人が暮らしをはじめていくのに大切なものは環境と人ではないでしょうか?森の暮らしという視点でここには二つが揃っています。
イトーピア小諸に出会って丸3年の月日が経ちました(2025年4月現在)。この間、すったんもんだしながら諸々の準備がいったん整いました。
一人でも多くの人にこの魅力的な場所を知ってもらいたい。そして森を拠点に働く暮らす中から新たな人生の1ページをめくってほしい。
そんな想いでこのシゴトをやっています。